毎月一度は満月がやってくるけれど、やはり秋の満月は格別なもの。
日本では、古来より、旧暦8月15日の満月を「中秋の名月」と呼んで偏愛してきました。
夜空を見上げてしみじみと、ただお月様を眺めるだけの行事なんて、
なんて不思議な「時間の過ごし方」でしょう!?
そんなわけで、今年の「中秋の名月」にあたる10月3日の夕刻、
みんなで上野の古民家に集まって、「お月見の会」を楽しんでみることとなりました。
1)上野の古民家「市田邸」でお出迎え。

今回の会場は、上野桜木にある古民家・市田邸。
築100年を越える伝統的な日本家屋の凜とした佇まいが、何とも言えず美しい。
昔の日本家屋としては普通だったのかもしれないけれど、
門があって、庭があって、土間があって、縁側があって、床の間があって、蔵がある...
こころゆたかに日々を暮らすための知恵がいっぱい詰まった、とても贅沢な空間です。
今回は、お月見ということで、床の間の前一面をススキの野っ原のようにしつらえてみました。
着物を見事に着こなした方々にも参加いただき、お月見気分がだんぜん盛り上がって参ります。
2)まずは、みんなでお団子作り。

お月見と言えば、何はともあれお団子。
なのに、床の間にしつらえたお供え用の三方には何も置かれていません。
なので、まずはみんなでお団子を作るところから、お月見の会はスタートしました。
料理研究家の松下和代さんの指導のもと、
上新粉を水で溶いた生地を、手のひらでクルクルと丸めていきます。
やってみると、これが意外と難しい!...なかなかキレイに丸まらないのです。
「高速でクルクル回すとうまくいく」という松下さんのアドバイスの元、
みんな子供のようにはしゃぎながら、クルクルクルクル、丸めました。
3)お月見の花を生ける。

お団子が茹であがるまでの時間を利用して、今度はお月見の花を各テーブルごとに生けてみます。
テーマは「家庭でできるお月見の室礼」。(講師はもちろん「明るい部屋」の木咲豊です!)
どこのオウチにもあるビールや日本酒の空き瓶を、和紙と紐でかわいらしく包んで花器にして、
ススキや菊などをバランス良く挿していきます。
できあがったお団子と並べて飾ると、あっという間に「お月見セット」の出来上がり!
4)朗読劇「月夜のけだもの」を鑑賞する。

床の間の三方にお団子もお供えして、これでやっと舞台が完成です。
市田邸の縁側の廊下を、まるで能の橋掛りのように渡って、
元劇団横浜ボートシアターの増田さんが登場。
いよいよ宮澤賢治作「月夜のけだもの」の朗読劇の、はじまり、はじまり〜。
下手側には、やはり元横浜ボートシアターの入野さんと富田さんが、竹でできた笛や太鼓を打ち鳴らし、
すっかり夜空に包まれた市田邸は、たちまちのうちに宮澤賢治の世界へと早変わりしたのでした。
月の光の魔力で、動物園の檻から抜け出してきたけだものたちが織りなす不思議な物語は、
まさに上野動物園わきの古民家で迎える十五夜にぴったりのお話。
床の間前面のススキの室礼は、この朗読劇のための舞台装置でもありました。
5)お月見のお料理をいただく。

月の魔力の余韻がさめやらないうちに、お楽しみのお食事会です。
今回のご馳走も、七夕の会に続いて、料理研究家の松下和代さんの力作揃い!
五穀米の栗ご飯のやさしいおいしさ、
とろろ昆布を浮かべて朧月夜に見立てたお椀の深い味わい、
そして秋刀魚や里芋など、今が旬の秋の恵みの数々。
いつもながら、松下さんの愛情たっぷりのお料理に大感激でした。
心地良い素敵な空間で、季節の草花たちに囲まれて、旬のお料理をいただく...
それこそがまさに、暮らしの喜びの原点なのだと、
改めて実感できた一夜でした。
6)外に出てみると、ほんとうに満月!!

さて、お腹もこころもすっかり満ちたところで、そろそろお開きの時間となりました。
外に出てみると、上野の森の夜空には、本当にキレイなお月様が!
実は今年は、十五夜と満月が一日ズレる年なんだそうで、
本当の満月は翌日の10月4日ということなのですが、
どこからどう見てもまん丸の、素晴らしい満月だったのでした!
※今回の収益の一部は、市田邸のより良い保存のために、NPO法人たいとう歴史都市研究会に寄付させていただきました。ご参加いただいた方に、厚く御礼申し上げます。
続いて「ゲストメッセージ」