001 椿

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名 称
ツバキ
学 名
Camellia japonica
科・属
ツバキ科
ツバキ属
英 名
Camellia
特 徴
照葉樹
原 産
日本
花時期
11月〜4月
写 真
野村正治

2008年12月05日

柳田國男の著書のタイトルを引き合いに出すまでもなく、
「椿は春の木」と書く。
しかし、誰が何と言おうと、「椿は冬の木」なのである。
まだ寒い冬の間に、赤や白のあでやかな花を咲かせるからこそ、
椿は他に代え難い価値がある。

今でこそ、年がら年中、町には色があふれているが、
ネオンも電気も看板もなく、人々の服装も地味な色しかなかった頃、
冬は色のない季節である。
ただ椿だけが、常緑の照葉樹として、てらてら光る緑色を背景に、
赤や白の色を散りばめるのだ。
椿をありがたく思って、信仰の対象にしたとしても不思議はない。

ありがたい木々として崇められ、
むやみに伐採などされることのなかった椿は、
日本中のあちこちに群生していたという。
野生の椿は、大きいものだと樹高20mにも達するほどになる。
現在の目白・椿山荘のあるあたりも、
江戸時代までは、一面、立派な野生の椿が群生する山だったという。

シーボルト、オールコック、シュリーマンと、
幕末に日本を訪れた西洋人は、
みな一様に、日本の風土の美しさを絶賛している。
冬に赤や白の花をつける野生の椿があちこちに咲き乱れている国が、
美しくないわけがないのである。

残念ながら、今の東京には、野生の椿が群生しているところなど、
どこにも見あたらない。
(栽培品種が野生化したように見えるところはあるけれど…)

せめて、一輪、こんな風に投げ入れて、
失われた時に思いを馳せてみるだけである。

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