- 名 称
- スミレ
- 学 名
- Viola mandshurica
- 科・属
- スミレ科
- スミレ属
- 特 徴
- 多年草
- 原 産
- 世界各地の温帯
- 花時期
- 4〜5月頃
「野蛮人の思考(La Pensée Sauvage)」と書かれた題字の下に、
「野生のパンジー(La Pensée Sauvage)」の絵が描かれた表紙を持つ、
とても美しい書物がある。
これは、フランス語の「Sauvage(ソバージュ)」という単語が、
「野蛮人の」と「野生の」という2つの意味を併せ持ち、
さらには、「Pensée(パンセ)」という単語が、
「思考」と「パンジー」 という2つの意味を併せ持つことから想を得た、
シャレた書物である。
「野生のパンジー(La Pensée Sauvage)」というと、
悪条件にも屈しない、逞しく、しかも美しいイメージを思い浮かべるのに、
「野蛮人の思考(La Pensée Sauvage)」というと、
なぜ、非合理的で遅れた考え方だ、というイメージを思い浮かべてしまうのか、
どちらも同じ言葉(La Pensée Sauvage)だと言うのに・・・
そうした異議申し立てが、そもそもの表紙から語られている。
日本語で「野生の思考」と訳されることが一般的なこの書物において、
我々が最も進んでいると思っている現代社会の考え方が、
ただ単に「栽培」されているがために合理的に見えるだけであることを、
レヴィ=ストロースは、未開人の神話や習俗の分析を通じて、
明らかにしようとした。
しかし、厳密に言うと、「野生のパンジー」なるものは存在しない。
パンジーとは、いろいろなスミレを交配して、
人為的に作り出されたものだからである。
つまり、パンジーそのものが「栽培」品種なのである。
だから、「野生のパンジー」とはパンジーではない何か別の物のことである。
私たちにできることは、ただ、その起源に思いを馳せることだけである。
同じように、「野生の思考」も、現代人にとっては、
その存在さえ確認しがたいファンタジーなのかもしれない。
ここに、「野生の思考」という書物の本当の難しさ、面白さ、凄さがある。
しかし、パンジーの元となった「野生のスミレ」は、
今もしぶとく生き残っている。
文明化された東京のコンクリートの割れ目からでも、
ニュキっと芽を出す逞しさを持ちながら、
うつむくように清楚で物憂げな花をつける。
ちょっと注意すれば、意外なほどに身近なところで発見できるほど、
日本は、種類も数も、世界に名だたる「スミレ王国」である。
芭蕉が、「山路来て 何やらゆかし すみれ草」とうたった「ゆかしさ」は、
今もその気になりさえすれば、そこかしこに、感じられるのである。
野生の思考
クロード・レヴィ・ストロース (著) 大橋 保夫 (翻訳)
みすず書房
ISBN-10: 4622019728 / ISBN-13: 978-4622019725
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