- 名 称
- バラ(イヴ・ピアジェ)
- 学 名
- Rosa cvs.
- 科・属
- バラ科
- バラ属
- 特 徴
- 木本性蔓植物
- 原 産
- フランス原産園芸品種
- 花時期
- 通年
高山宏の「表象の芸術工学」という本を貪るように読んでいたら、
俳句を研究していて、実は漢字も書けたというドイツの詩人・リルケが、
周りにいるドイツ人に「薔薇」という字を書いて見せて、
「これはある花の名前をあらわす日本文字だが、何を指しているのか」と聞くと、
十中八九“Rosen(薔薇)”という答えが返ってきた…
というようなことが書いてあった。
つまり、漢字を知らない人に見せても、「薔薇」は「バラ」に似ているらしい。
確かに、「薔薇」は「バラ」の花に良く似ている。
幾重にも重なる「バラ」の花びらの、その複雑なカタチが「見えて」くるようであるから、
「薔薇」は、漢字の持つ表象性を示す好例なのかもしれない。
ところが、ここでちょっとしたギモンが浮かんでしまう。
いうまでもなく、「薔薇」はもともと、中国の漢字である。
そして、中国はモダンローズの原種となったコウシンバラの原産地だから、
「薔薇」という漢字が誕生した頃、その文字が指し示していた「バラ」とは
コウシンバラなどの野生種のはずである。
しかし、その頃の野生の「バラ」には、わずかに5枚ほどしか花びらがなかったのである。
それは、一重咲きの、とても清楚な感じのする、シンプルな花だ。
どちらかというと、同じバラ科に属する「梅」や「桜」に近いイメージである。
だとするなら、「薔薇」という漢字は、もともとは「バラ」にちっとも似ていなかったんじゃないだろうか。
少なくとも、現代の「バラ」ほどには「薔薇」という漢字に似ていなかったはずである。
幾重にも重なる、複雑で精緻な「バラ」の花姿は、
幾万回と繰り返された品種改良によるタマモノだ。
だから、まず、「薔薇」という漢字の方が先にあり、
その漢字を真似るようにして、複雑な花びらを持つ「バラ」が開発されていった、
と見る方が自然な気がしてくるのである。
「薔薇」が「バラ」に似ているのではなく、「バラ」が「薔薇」に似たのだ…
そう考えると、漢字の持つ力に、あらためて驚かされてしまう。
ところで、最も「薔薇」という漢字に似ている「バラ」の品種は何だろう、
そういう観点から「バラ」を見ていた時期があった。
あまりにいろいろ候補があって1つを選び出すのは難しいのだけれど、
個人的な、とりあえずの結論は、「イヴ・ピアジェ」である。
表象の芸術工学
(神戸芸術工科大学レクチャーシリーズ)
高山 宏 (著)
工作舎
ISBN-10: 4875023642 / ISBN-13: 978-4875023647
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