植物建築図鑑

Last updated:2009.07.26

外界の不快なものから身を守り、自然をコントロールする、という建築の使命から遠く離れて、まるで「植物にコントロールされている」としか思えないような建築物がある。植物が建築の装飾であることを超えて、もはや植物なしでは成立しえないような建築物…そういう建築を、とりあえず「植物建築」と呼んでみることにした。それはただ単に助成金が出るからとか、何となくエコっぽいからといった程度の理由で流行しつつある<屋上緑化>や<壁面緑化>とは、明らかに違う性質のものである。高層ビルの谷間や、駅前の喧騒から一歩入った路地裏などで、こうした「植物建築」に不意に出くわす時、それはまるでジャングルの中で息をひそめて獲物を狙っているケモノのようだ。しかし残念なことに、再開発志向にある東京では、こうした「植物建築」は「絶滅危惧種」でもある。かつて麻布や六本木の路地裏に点在していた植物まみれの邸宅が、突然、更地になっていたり、世界に誇れる「植物建築」であった表参道の同潤会アパートが、単なるブランドビルに成り果てたりする昨今、1つでも多くの「植物建築」が取り壊されないよう、願いを込めて記録していきたいと思う。

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